つくば市の眼科クリニック。つくば橋本眼科です。

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当院の白内障手術について





 近年の白内障の手術は、水晶体を超音波にて乳化し吸引除去する摘出法の進歩に伴い切開創の縮小化が可能となりました。今日では、特殊なカートリッジを用いた眼内レンズの挿入による切開創の縮小化は標準的な手術となっており、多くの施設で行われており当院も例外ではありません。しかしながら、どんなに術式や手術器具が進化をしたとしても、手術は手作業で行われる性質上、少なからずとも合併症が発生し、その頻度は術者の技量に左右されてしまいます。私が白内障手術で最も重要と考えていることは、①合併症をなくすこと。②眼内レンズの選択を患者様のニーズに合わせ繊細に設定すること。③痛みの少ない手術設計をすること。以上3点です。

以下にその3点についての当院の取り組みを示します。

Ⅰ, 合併症をなくすこと

白内障の手術の合併症の代表格として、「後破損」がまず挙げられます。白内障手術の際には水晶体の内容を吸引除去し、水晶体の周りの袋()を残して、その袋()の中に眼内レンズを挿入するのですが、が何らかの原因で破損することを後嚢破損と言います。眼内レンズを入れるべき袋が破れてしまうため、当然、通常どおりのレンズ挿入が出来なくなり、眼内レンズを眼内に挿入する際には眼内レンズのループ(足部)を眼球(強膜)に固定しなければならなくなります。術後の視力にも影響が出やすい合併症であり起こってほしくないアクシデントなのですが、文献的には2.54.1%程度の頻度(100人中3人程度)で発生すると公表1されています。
 当院での発症もこれまでに数例程度あり皆無ではありませんが、独自の工夫と技量により、後嚢破損による眼内レンズ強膜内固定のケースは、この19年間で1件のみに抑えられております。(令和612月現在) 当院の白内障手術件数は、年間で約600件です。
 すべては患者様の笑顔のために、丁寧さをもって頑張っております。

参考文献:
1
)臨眼5811):74-79, 2004 (増)

Ⅱ, 眼内レンズの選択を患者様のニーズに合わせ繊細に選定すること

眼内レンズにはピントが合う位置が一か所の単焦点レンズと二か所の多焦点レンズがあります。長所短所は別項で述べますが、多焦点レンズは保険適応外ということもあり、手術の際にそのレンズを選ぶ人は日本の全白内障手術患者の1%未満と言われており、国内ではほとんどの患者様が単焦点レンズでの手術を選択されています。 多焦点眼内レンズは「保険適応外」ということからその利点についての宣伝が多く目立つ今日ですが、当院ではあえて患者様の選択が多い単焦点レンズでの取り組について、ここで説明をさせていただきます。

 単焦点レンズはピントが合う位置が一か所ですから、出来るだけ患者様が望まれる距離に合わせて細かいレンズ度数設定をすることが求められます。白内障手術を受けられる人の多くはすでに老眼の年齢になっていらっしゃいますので、術後に術前同様に老眼鏡をかけることに抵抗感が少ない人が多いですが、白内障手術は一生に一度の目の屈折を変えるチャンスですから、できればその方にとって理想的な距離にピントが合うレンズを選択したいところです。当院では、手術を受けられる患者様と事前に細かな話し合いを行い、患者様のライフスタイルの状況や家中でテレビを見る距離や画面の大きさ、手芸や楽器演奏などの趣味の有無を考慮し、時にはコンタクトレンズを用いたシミュレーションを事前に行い、眼内レンズの繊細な設定に力を入れております。

 
例えば、パソコンをする方の場合、デスクトップ型とノート型では目からの距離が全然違いますし、書物を読むのでも文庫本と新聞とでは求められる距離も約2~3倍と全く違ってきます。単に、「遠くが見えた方が良いか、近くが見えた方が良いか」という大雑把なレンズ設定では、患者様の求める距離を実現できないと私は考えております。

 
 また、多くの人は左右の屈折(矯正度数)が全く同じではありませんが、その左右差を逆に利用して、眼内レンズの設定度数をあえて少しずらし、ピントが合う領域を広げて近くも遠くもある程度メガネなしで見えるようにするという方法(モノビジョン)もあります。術前の左右差の大きさによって度数をずらすことが出来る幅が違ってきますが、術前から左右差が大きく左右の目で遠方・近方で使い分けができていてメガネを使わなくても日常生活が出来ていた方は、そのまま同じ程度のレンズ度数左右差をあえて設けることによって、術前同様のメガネのいらない生活が出来ることが多くなります。

Ⅲ、傷みの少ない手術設計をすること

 白内障手術に限りませんが、手術をする際には術中の患者様が感じる痛みは患者様だけでなく術者にとっても大変なストレスになるため、痛みへの対策は十分に行わなければなりません。 白内障手術を行うに当たり、術中の麻酔が切れないようにすることは当たり前のことですが、その分、単に麻酔を強く(多く)すればよいというものでもありません。 従来よく行われてきた注射による麻酔は、麻酔を打つ行為自体が大変痛いものであったため、患者様からは大変不評なものでした。 当院では、点眼麻酔と前房内麻酔、時にテノン囊下麻酔を組み合わせることにより、出来るだけ皮膚を注射針で刺さない方法を取ことによって患者様の痛み軽減に努めております。

 続いて手術が終わってからの痛みについてですが、術後に発生する痛みの原因の一つには目の消毒が大きく関与しております。 手術前の目の洗浄には一般的にヨード系の消毒薬が広く用いられますが、当院も以前はこの方法で術前の目の洗浄を行っており、多くの患者様は術当日夜の痛み(ジンジンする)を翌日の診察時に訴えられておりました。デリケートな目の表面を刺激性のある(ヨード系)消毒液で入念に洗浄する訳ですから、麻酔が切れてからの数時間はいわゆる「薬負け」で痛みが出ることは容易に想像できると思います。 実際に、手術翌日の角膜びらん(ただれ)も多く見られておりました。 そこで、当院ではその痛みへの対策として術前の眼球洗浄を「オゾン水」で行う方法を採用致しました。

 オゾン水は殺菌能力が極めて高いことが知られており、一般的に術前眼洗浄用として広く用いられているポピドンヨードに比べ殺菌能力が高く、また、通常の水道水での眼球洗浄とほとんど変わらない接触性で角膜上皮の障害も著しく低いとされています。当院では、この「オゾン水」での術前洗浄に変えてから、術後夜の疼痛の訴えと術翌日の角膜びらんが激減致しました。
 「オゾン水」の発生装置は購入費・維持費がとても高いもので、採用している施設は少ないようですが、患者様の痛み軽減を目的として導入致しました。また、当院では白内障手術後の化膿(眼内炎)による失明は、開院以来1件の発生もありません。
(文献的には3000件に1件の割合で眼内炎は発生すると報告されています)

 術者である私自身、痛いことは大変苦手な人間です。より痛みの少ない手術を目指し、患者様の苦痛を軽減したいと願っております。



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